「天相画」とは、墨相画探求の末に見出した絵画表現です。

師である故・武井泰道先生が創始した「墨相画」は、心や観念の世界を表現する禅画の流れを汲む絵画であり、描く対象が何であれ、作品が自分の姿絵となります。

私は理想の墨相画を描くため、技術の向上に取り組みつつ、思想家・中村天風の教えを実践する公益財団法人「天風会」の会員となり、心の鍛錬に励んできました。

こうした過程の中で「宇宙と調和した心の平安」を求めるようになった私の絵画表現は、次第に墨相画の枠に収まらないものへと変化していきました。

私が節目となる作品集の発刊と第四回個展の開催を終えた折、それらのプロデュースをしてくださった美術情報誌『ONBEAT』の藤田博孝編集長が、私の作品に対して、「墨相画という範疇を越え、人の心と天の意志が和合する”天相画”というような新境地を開拓した」と表現されました。

藤田編集長のその言葉と、武井先生から生前最後に掛けられた「これからは自分の道を歩んでいきなさい」という言葉に背中を押され、「天相画」を描く天相画家として活動していくことを決意しました。

大谷笙紅

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