第5章 その他諸作品

水墨画様式で描かれた初期の掛け軸作品から、風光明媚な名所を活写した作品、そして可愛い 子猫たちを描いた作品まで、バラエティに富んだ作品が並ぶが、大谷はその初期において既に、非凡で洗練された絵画表現をしてきたことがわかる。中でも職場の 恩師への 感謝の念を表現した《鎮魂》には、その作風や精神性など、大谷作品の原点を垣間見ることができて興味深い。

春走

中国雲南省へのスケッチ旅行から生まれた作品。 中国特有の赤土の広い大地を若者が馬に跨り駆け抜けて行く。近景には白い花をつけた梅のような木々が、遠景には玉龍雪山が霞んで見える 。 大陸的な雄大な空気と、疾走感が共存した画面は春の清々しさを伝える。

勇壮

画家の地元で行われる 「 岸和田だんじり祭り」を絶妙な構図で捉えた。躍動感の中にも女性画家ならではの優美さが香り立つ。

遠望

屹立する山々の頂より、遠く 小豆島の海を望む景色が心地よい。山水画様式の初期作品ながら、熟練の味わいがある。

時空

中国への取材旅行が生んだ作品。太古より時空を越えて聳え立つ山々と、 吹き渡る気流は、馬上の人に何を語るのだろう。

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